明治・大正期の思想家、美術指導者である「岡倉天心」は、福井藩士を父に持つとともに、幼少期から多くの福井人に囲まれて育ったことから、
自ら「越前生まれ」と記すほど福井に対する想いは深く、郷土の生んだ偉人として長く敬愛されています。
天心の功績の一つに、「茶の文化」を通して日本文化をわかりやすく紹介し、現在も世界中で読み継がれている『茶の本』の執筆があります。
日本の芸術、文化、生活や日本人の美意識が茶の湯にあるという天心の志を育んだのは、越前焼を始めとし、和紙や漆器、打刃物、指物などの
匠の技が継承されてきた歴史や篤い信仰心、自然と調和した生活様式など日本人の生活に不可欠な要素がそろった福井の風土にあるといえます。
越前古窯博物館は、福井の伝統工芸をふんだんに活用して建築されただけでなく、本格的な茶室も備えています。今後、天心を顕彰する茶会を
始め、日本の文化を継承する様々な催しを開催することで、伝統工芸と「茶文化」の融合を図り、県内外にその魅力を発信していきます。